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2026年03月26日
【理学療法士解説】お尻の筋肉(大殿筋・中殿筋)の役割と股関節の安定性
お尻の筋肉は体を支える強力なエンジン

雪解けが進み、春の気配を感じる季節となってきました。これからの時期、ジョギングやウォーキングといった運動を再開される方や、冬の間は控えていた遠出を楽しむ方も増えてくることでしょう。このように私たちが日常的に「歩く」「走る」「階段を昇り降りする」といった動作を行う際、体の土台となる骨盤と股関節を力強く支え、前に進むための強力なエンジンとなっているのが「お尻の筋肉(殿筋群)」です。
しかし、現代人の生活様式において、この強力なエンジンを正しく使いこなせている人は驚くほど少数です。長時間のデスクワークや運動不足、あるいは無意識のうちに身についてしまった不良姿勢のクセによって、お尻の筋肉が本来の働きを忘れ、「サボっている」状態になっている方が非常に多くいらっしゃいます。
お尻の筋肉が正しく働かなくなると、そのしわ寄せは腰や膝といった別の関節にダイレクトに向かいます。それが、繰り返す腰痛や、原因不明の股関節痛、膝の痛みの引き金となっているケースは決して珍しくありません。
今回は、機能解剖学の視点から、お尻の筋肉を代表する「大殿筋」と「中殿筋」の役割を紐解き、股関節の安定性が私たちの体にとっていかに重要であるかを詳しく解説していきます。
Contents
大殿筋と中殿筋の役割とは?
お尻の筋肉と一口に言っても、表層から深層まで複数の筋肉が層のように重なり合って構成されています。その中でも、股関節のダイナミックな動きと、骨盤の安定性に最も大きく貢献しているのが、大殿筋(だいでんきん)と中殿筋(ちゅうでんきん)と呼ばれる二つの筋肉です。
パワーの源である大殿筋
大殿筋は、人間の体の中で最も体積が大きく、非常に強い力を発揮することができる単一の筋肉です。骨盤の後ろ側(腸骨や仙骨)から、太ももの骨(大腿骨)の外側にかけて広範囲に付着しており、主にお尻を後ろに引く動作、専門用語で言うところの「股関節の伸展」という動きで強く働きます。

椅子から立ち上がる瞬間、階段を一段飛ばしで力強く登る時、あるいは走る時に地面を後ろに蹴り出す際など、体を前へと押し出す推進力は、この大殿筋から生まれています。また、立っている時に上半身が前に倒れないようにブレーキをかけ、姿勢を真っ直ぐに保つためのアンカー(錨)のような役割も果たしています。大殿筋がしっかりと働くことで、私たちは力強く、かつ安定した動作を行うことができるのです。
バランスの要である中殿筋
一方の中殿筋は、大殿筋の少し奥かつ外側、骨盤の側面から太ももの骨の付け根(大転子)にかけて付着している筋肉です。この筋肉の最も重要で、かつ唯一無二の役割は、片足立ちになった時の「骨盤の水平性の維持」です。

私たちが歩行する際、両足が地面についている時間は意外と短く、動作の大部分は片足立ちの連続で成り立っています。この片足立ちになる瞬間に中殿筋がしっかりと収縮してくれるおかげで、浮いている側の骨盤が下に落ちることなく、体が左右にグラグラと揺れるのを防いでくれます。中殿筋は、いわば体を横ブレから守る強力なスタビライザー(安定装置)なのです。
なぜお尻の筋肉はサボってしまうのか?
では、なぜこのように重要なお尻の筋肉が機能低下を起こし、サボるようになってしまうのでしょうか。それには、現代特有のライフスタイルが大きく関係しています。
長時間のデスクワークによる筋肉の忘却
最も大きな原因の一つが「座りっぱなし」の生活です。椅子に座っている時、股関節は常に曲がった状態になり、大殿筋は引き伸ばされたまま圧迫され続けます。長時間この状態が続くと、脳から筋肉への神経伝達が鈍くなり、いざ立ち上がって歩こうとした時に、お尻の筋肉にうまくスイッチが入らなくなってしまいます。これを専門的には殿筋健忘症(お尻の筋肉の記憶喪失)などと呼ぶこともあります。
不良姿勢による過剰な負担
また、日常的な姿勢の崩れも影響します。例えば、骨盤が前に傾きすぎている「反り腰」の方や、逆に骨盤が後ろに倒れて背中が丸まっている「スウェーバック」と呼ばれる姿勢の方の場合、股関節の噛み合わせが悪くなります。関節の位置がずれると、そこに付着している大殿筋や中殿筋は本来の力を発揮できず、出力が極端に落ちてしまうのです。
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お尻の筋肉が機能しないことで起こる連鎖的な不調
大殿筋や中殿筋がサボり始めると、股関節の安定性が失われます。人間の体は非常に賢くできているため、ある関節が不安定になると、隣り合う別の関節や筋肉が過剰に働いて、その不安定さをカバー(代償)しようとします。この代償動作こそが、慢性的な痛みの根本原因となります。
腰痛や坐骨神経痛への波及
大殿筋がうまく使えないと、私たちは股関節から体を伸ばすことができなくなります。その結果、背骨の腰の部分を過剰に反らすことで立ち上がったり、歩いたりするようになります。これにより、腰の筋肉が常に緊張を強いられ、慢性的な腰痛を引き起こします。また、お尻の奥にある小さな筋肉(梨状筋など)が代わりに頑張りすぎることで硬くなり、その下を通る坐骨神経を圧迫して、お尻から足にかけての痺れや痛みを引き起こすこともあります。

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膝の痛みへの波及
中殿筋が弱まると、歩行時に骨盤が外側にスウェー(横揺れ)してしまいます。これを防ぐために、太ももの外側の筋肉が過剰に働き、腸脛靭帯炎などの痛みを引き起こすことがあります。さらに、中殿筋が太ももの骨を外側に開く力を失うと、歩くたびに膝が内側に入りやすくなります。これが繰り返されることで、膝の関節軟骨や半月板に局所的なストレスがかかり、変形性膝関節症などの膝の痛みへと繋がっていくのです。
股関節の安定性を取り戻す!ブーストケアのアプローチ
お尻の筋肉の重要性を理解すると、すぐにハードなスクワットやトレーニングを始めたくなるかもしれません。しかし、サボっている状態の筋肉を無理に鍛えようとしても、結局は太ももや腰の筋肉で代償してしまい、逆効果になることが多々あります。
まずは、硬くなってしまった周囲の筋肉や関節包を丁寧に緩め、股関節の可動域を正常な状態にリセットすることが最優先です。関節が正しい位置に戻って初めて、筋肉は100%の力を発揮できるようになります。その上で、脳から筋肉への神経回路を繋ぎ直すような、緻密なコンディショニングを行っていく必要があります。
札幌市豊平区のブーストケアでは、機能解剖学に基づいた詳細な動作分析を行い、「なぜあなたのお尻の筋肉は働かなくなってしまったのか」という根本原因を突き止めます。そして、徒手療法で関節の動きを引き出しながら、ご自身で正しく筋肉を使えるようにモーターコントロール(運動制御)の再学習をサポートいたします。

おわりに:土台を安定させて不調を繰り返さない体へ
お尻の筋肉は、私たちの体を支え、力強く前に進めてくれるかけがえのない土台です。慢性的な腰痛や膝の痛み、あるいは歩き方の違和感に悩まされている方は、その痛みの出ている場所だけでなく、体の中心である股関節やお尻の筋肉に目を向けてみてください。
「自分の歩き方がおかしい気がする」「マッサージに行ってもすぐに腰が痛くなる」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ブーストケアにご相談ください。眠っているお尻の筋肉を目覚めさせ、不調を繰り返さない、アクティブに動ける体をご一緒に作っていきましょう。
この記事の監修・執筆者
小野寺 智亮(おのでら ともあき)

【保有資格】
- 運動器認定理学療法士(理学療法士の上位約3.5%)
- 理学療法士(国家資格)
【経歴・アプローチ】
理学療法士として総合病院で20年以上の臨床経験(延べ5万人以上)を持ち、機能解剖学に基づいたアプローチで不調の根本改善へと導くスペシャリスト。
現在は札幌市豊平区にて、整体・コンディショニング・ボディメイクサロン「Boost Care(ブーストケア)」を運営。
【競技者としての実績】
現役のフィジーク選手として、自らもハードなトレーニングとボディメイクを実践している。
- 2023年 ベストボディ・ジャパン函館大会 準グランプリ
- 2024年 ベストボディ・ジャパン札幌大会 3位 ほか入賞多数
- フルマラソン自己ベスト 3時間8分
【施設情報】
Boost Care(ブーストケア)
住所:札幌市豊平区平岸3条13丁目1-29 ネクステージュ南平岸603
アクセス:地下鉄南平岸駅から徒歩3分
駐車場:近隣の有料コインパーキングをご利用ください
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